債務整理(自己破産)の誤解

債務整理(自己破産)の誤解

自己破産と聞くと、どのようなイメージをおもちでしょうか?

自己破産は債務整理のなかで最も強力な手続きのため、ネガティブな印象をもたれがちですが、そのほとんどが誤解といえるものです。

ここでは、債務整理に関するよくある誤解をご紹介します。

会社をクビになる、就職できなくなる?

債務整理(自己破産)をしたことが理由で、会社をクビになることはありません。

なぜなら、債務整理(自己破産)が理由による解雇は、不当解雇に該当するからです。

もし解雇されてしまったら、不当解雇として、裁判所に解雇の取り消しを訴えることができます。

会社にバレる?

クビにならないからとはいえ、会社に自己破産したことを知られたくないと考えるのは当然です。

では、自己破産したことが、知られてしまうようなことはあるのでしょうか?

その答えは、「ほとんどない」です。

裁判所は、自己破産手続きをしたことを、手続きの対象となっている債権者に通知することはあっても、それ以外のところにわざわざ伝えることはしません。

信用情報(ブラックリスト)には載りますが、会社があなたの信用情報を取り寄せることはできないですし、唯一広告される官報も、官報を定期的にチェックしているような業種の場合は気を付けたほうがいいかもしれませんが、一般のひとが見ることはないものですので、まずバレません。

ただし、自己破産には、職業制限があります。

その職業についている方は、一時的に業務ができなくなってしまいますので、それをきっかけに知られる可能性はありますのでご注意ください。

また、会社から借入れをしている場合は、会社が自己破産の対象となり裁判所から通知が行くこととなりますので、この場合は、隠すことはできなくなります。

全財産を取られてしまう?

自己破産をすると、家に裁判所の職員がきて、もちものを全部持っていかれてしまう。そんなイメージを持っている方も少なくないかもしれません。

しかし、実際は、「自由財産」と呼ばれる、残すことができる財産があります。

自由財産のうち、主なものは、「99万円以下の財産」、「生活に必要な衣類や家具」です。

そのため、家にあるものすべて持っていかれてしまうというのは誤解ですし、破産手続きが終了してから取得した財産も、すべて自由に使うことができます。

借りているアパートを出ていかされる?

自己破産をすると引越しをしなくてはいけないという誤解がありますが、賃貸の場合でしたらそんな必要はありません。

そもそも大家さんや管理会社に、自己破産をしたことがバレるということがありませんし、バレたとしても、破産を理由に賃貸借契約を解除することはできません。

ただし、賃料を滞納していた場合は、賃料の不払いを理由として賃貸借契約を解除される可能性がありますのでご注意ください。

破産手続き中は、住所を変える場合、裁判所に許可を取らなくてはなりませんが、それは、財産を隠したりするのを防ぐためで、引越しを止められることもありません。

そもそも破産手続きが終われば、居住制限もなくなりますので、引越しも海外旅行も自由にできます。(パスポートに破産の事実は載りませんし、入国審査の時に、聞かれることもありません。)

給料を差し押さえられる?

平成17年1月1日に改正された新破産法で、破産手続き開始決定以降の強制執行は禁止となりました。

そのため、自己破産したことにより、給料まで差し押さえられてしまうという心配はいりません。

選挙権がなくなる?

自己破産をしても、選挙権はなくなりません。投票にいくこともできます。

選挙権がなくなるのは、一定の犯罪を犯し、また、犯罪を犯したあと一定の期間が経たない者です。

自己破産は、犯罪でもなんでもありません。自由に投票できますし、立候補することもできます。

年金や失業保険が受けれない?

受け取れます。年金や失業保険が差し押さえられたり、将来にもらえる年金の支給額が減額されることもありません。

戸籍や住民票に載る?

戸籍や住民票に、自己破産をした事実が載ることはありません。

よって、なにかの都合で戸籍謄本や住民票の提出が必要になったときも、自己破産したことがバレる心配はありませんし、お子さんの就職やご結婚に影響を与えることもありません。

一生お金が借りられない?

債務整理手続きを行うと、信用情報(ブラックリスト)に名前などが載ります。

その結果、任意整理は5年、自己破産と個人再生は10年、新たにお金を借りることはできないとされています。

一定の期間はブラックリストに名前が載っているため、たしかに貸金業者から借金をすることはできませんが、信用情報は事故情報が掲載されてから5年~10年間経過すると抹消される決まりになっているので、一生借入れができないというのは誤解です。

登録期間が経過したあとは、また借りられるようになります。

デメリットの回避方法を知っているのが弁護士や司法書士

このように、普段の生活に影響する自己破産のうわさやイメージは、誤解が多いのが事実です。

自己破産のページでも詳しくお伝えしていますが、自己破産によるメリットは非常に大きく、新生活のために得られるものの方が圧倒的に多いのです。

借金を放っておくと、利息や遅延損害金が膨らみ、それこそ取立てや差押えなど、私生活や仕事に影響が出てしまう危険があります。

「今までなんとかなっていたから、これからもなんとかなるだろう」と、督促をそのままにしていたら、突然、裁判所から訴状や差押えの手紙が届いたと、慌てて相談に来られる方も少なくありません。

弁護士や司法書士は、ご自身にいちばんあった債務整理の方法をいっしょに考えてくれますし、不利益になるということがあれば、その事情にあわせて、正しい対処法・回避方法も提案してくれます。

問題を悪化させることのないよう、返済が滞るようになったら弁護士や司法書士に相談して、早めに対処することが肝心です。

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