過払金の請求を急がなくてはいけない理由

・過払金の時効

過払金は最後に取引した日から10年が時効期限

過払金の時効

過払金には、時効があります。いつまででも請求できるわけではありません。

過払金は、最後に借入・返済をした日から10年が経過すると時効で消滅してしまうため、請求できなくなってしまいます。

2009年1月22日最高裁で、時効の開始日は、「特段の事情がない限り、取引が終了する時点から起算」という判決が出ていますので、最後に取引をした日から数えることができます。

しかし、2020年4月1日に民法が改正されてからは、2020年4月1日以降に完済した場合、時効は10年、または権利が行使できることを知ってから5年に変更となりました。

例えば、

2020年4月1日よりも「前」に借金を完済

2000年に借入、2020年3月に借金をすべて返済した場合。

過払金請求ができることを前から知っていたとしても、過払金請求の時効は、完済した2020年3月から10年後の2030年3月です。

2020年4月1日よりも「あと」に借金を完済

2000年に借入、2020年5月に借金をすべて返済した場合。

過払金請求ができることを知った場合、過払金請求の時効は、完済した2020年5月から5年後の2025年5月です。

理由は、うえでご説明したとおり、2020年4月1日に民法が改正され、この日以降は、過払金請求ができることを知った日から5年後にも時効が成立すると変更になったからです。

・過払金の時効を止めるには

「あと少しで時効になってしまうから、いまから弁護士や司法書士に相談しても間に合わないのでは」という場合、時効を止める方法があります。

貸金業者に、過払金の請求書を送付する

貸金業者に、「内容証明郵便」で過払金の請求書を送付します。そうすることによって、時効のカウントを6カ月間ストップすることができます。

ただし、取引履歴の開示を依頼しただけでは、カウントは止まりません。

引き直し計算をして、その結果を請求書に表示しなくてはいけないため、取引履歴の開示をして安心してしまうと、開示請求をしたときには時効は成立していなかったのに、計算中に時効が成立してしまうという可能性があります。

そのための引き直し計算には、専用ソフトもあるのでご自身で計算することも可能ですが、迅速かつ正確な計算が必要になりますので、弁護士や司法書士の力を借りることも検討するとよいでしょう。

・裁判所に、訴訟を提起する

過払金請求は、裁判を申し立てることもできます。

申立てが認められると、時効がいったんストップして、時効が10年延長されます。

ただし、裁判を起こすには事前にさまざまな準備が必要ですし、法律的な知識も必要になってきます。

申立て準備中に時効を迎えてしまうと過払金請求ができなくなってしまいます。

また、以前大手の貸金業者が倒産したように、その会社がいつまでもあるとは限りません。時効が成立していなくても、手続きをしているあいだに貸金業者が倒産してしまった場合は請求ができなくなってしまいます。

時効には、期限があります。

弁護士や司法書士でしたら、複雑な引き直し計算も速やかに正確に行うことができ、時効間近であっても、それを止めることができるかもしれません。

時効の請求は、なるべく早く弁護士や司法書士に相談して対処することをおすすめします。

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