「自己破産って、どれくらいの期間がかかるの?」
「自己破産の流れって、どうなっているの?」
自己破産を検討されている方は、借金から一刻も早く解放されたい気持ちとともに、いざ弁護士や司法書士への依頼を決心したら、そのあとどうやって進んでいくのか、気になるのがその後の流れではないでしょうか。
手続き内容や期間は、このあとご説明する手続きの種類によっても、大きく変わります。
(同時廃止、管財事件、利用する裁判所(管轄)など。)
どのようなスケジュールで進むのか、どれくらいの期間がかかるのか、事前に把握しておくと、破産手続き終了後の新生活への準備も進めやすくなります。
このページの目次
自己破産の種類について
自己破産には、「同時廃止」と「管財事件(通常管財・少額管財)」、大きく2つの種類があります。
それぞれ費用や期間は異なり、最も費用がかからず、短期間で手続きが終わるのが同時廃止、
一番費用と期間がかかるのが、通常管財事件です。
日本弁護士会連合会によると、70%以上が同時廃止で手続きがなされています。
ここでは、それぞれの手続きについてと、その流れを具体的に解説させていただきます。
同時廃止と管財事件の違いって?
このふたつの事件の違いは、預貯金や不動産などの財産によって判断されます。裁判所によって基準が異なる場合があります。
同時廃止事件とは、一定以上の財産がない場合に用いられる手続きです。
裁判所に申立てをした時点で、債権者に配当するべき財産が一定以上ある場合は管財事件、配当するべき財産がなく特に価値のある財産を持っていない場合は同時廃止事件となります。
名古屋地方裁判所では、財産が50万円以下であれば同時廃止となることが多いですが、50万円以上であっても同時廃止となる場合もありますので、詳しくはご相談ください。
どれくらいの期間がかかるの?
自己破産手続きの種類と、免責許可までにかかる期間(目安)
同時廃止 3~4か月
少額管財 3~6か月
通常管財 6~12か月
借金の理由や財産などをできるだけ詳しく正確に弁護士や司法書士に伝えることで、同時廃止・管財事件どちらの手続きで進みそうか、事前にある程度知ることができます。
それでは次に、自己破産を決めてからの具体的な流れをご説明いたします。
同時廃止の手続き期間とスケジュール
同時廃止の場合、自己破産の申立てを行ってから免責の確定を得られるまで。早い方でも約3か月かかります。
自己破産は、申立前の書類準備にも、最低2か月はかかりますので、自己破産を始めようと弁護士や司法書士に依頼されてから、最低でも5か月ほどはかかることになります。
1.ご依頼から申立てをするまでの期間(2~3か月)
- 委任契約を締結
- 受任通知を発送
弁護士や司法書士から、委任を受けた旨の受任通知を発送します。
貸金業者などからの取り立てがストップします - 必要書類の準備(収集・記入)
申立てに必要なものをお伝えしますので、それにそって、書類の取り寄せや記入をしていただきます
2.裁判所へ自己破産を申立~開始が認められるまでの期間(2週間~1か月)
- 必要書類を裁判所に提出
- 補充事項等照会書の回答
申立必要書類や、それ以外に裁判所がもう少し詳しく聞きたいという内容に関して、「補充事項等照会書」という書面にて説明をするよう指示が出されます。
3.破産手続開始決定と破産手続廃止決定
- 破産手続開始決定
上記のやり取りが終わると、裁判所から書面で「破産手続開始決定」が届きます。 - 破産手続廃止決定
同時廃止の場合は、同時に「破産手続廃止決定」という書面も届きます。
4.免責許可・免責不許可決定
免責が許可される場合は、裁判所から免責許可の書類が届きます。
裁判所が官報へ掲載する手続き期間(2週間)と、官報掲載期間(2週間)がかかりますので、免責許可決定から約1か月後に免責許可が確定します。
これにより、借金を返済する必要がなくなります。
同時廃止の場合は、ここで手続き終了です。
5.管財事件の場合
同時廃止事件「3.破産手続開始決定と破産手続廃止決定」から手続きが異なってきます。
管財事件の場合、この段階で、破産管財人が選出されます。
破産管財人が財産状況をより詳しく調べ、免責不許可自由がないかを調査します。
本人と面談をして、詳しい経緯や現状を聴取します。
債権者集会といって、管財人といっしょに裁判所へいって、裁判官に配当の有無についてなど報告します。同時に、免責審尋も行われます。
債権者に配当する財産がある場合は、破産手続終結決定、
配当がない場合は、破産手続廃止決定が出されます。
このあとは、同時廃止と同じです。
・特定の職業や資格が制限される
破産開始決定から免責許可までの期間は、以下の職業や資格が制限されます。
これを、自己破産による「職業制限(資格制限)」といいます。破産法に職業制限の規定がある訳ではなく、各職業についての各種法令で個別に定められています。
そのため、破産手続開始決定後は資格の登録ができなくなったり、開始決定時に得ていた資格が失われることがあります。
もっとも、資格制限は一生続くわけではなく、免責許可決定が下りるなどの一定の条件を満たせば元通りに働くことができます。
制限されているもの以外の職業については、自己破産の手続きを開始しても、原則今まで通り続けることができます。
具体的な職業や資格は、以下になります。
弁護士、司法書士、行政書士などの士業
弁護士、弁理士、司法書士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、公認会計士、税理士、行政書士、通関士、宅地建物取引士など
なお、宅地建物取引士が自己破産した場合は、届出の義務があります。
一部の公務員
公務員のうち、一部の公務員には職業制限がかかります。全ての公務員が対象という訳ではありません。
人事院の人事官や、教育委員会の教育委員、公正取引委員会の委員などは、法令によって退職させられることなります。また公正取引委員会は、罷免になることがあります。
商工会議所・信用金庫などの団体の役員
日本銀行・商工会議所・信用金庫・その他金融商品取引業・労働派遣業などの役員は、解任されます。
上記以外の業種でも会社役員は退任
会社の取締役・執行役員・監査役などは会社と委任関係にあり、自己破産によりその委任契約は終了します。そのため、会社役員が自己破産した場合には、役員を退任することになります。(民法653条2号)。
その他の職業一覧
上記の他にも、
- 貸金業者の登録者
- 生命保険募集人
- 質屋を営む者
- 割賦購入あっせん業者の役員
- 警備業者の責任者や警備員
- 旅行業務取扱の登録者や管理者
- 建築業を営む者
- 下水道処理施設維持管理業者
- 風俗業管理者
- 廃棄物処理業者
- 調教師・騎手
などが、対象となっています。
自己破産の手続きには、ある程度の期間がかかります。
流れを把握して、事前に準備を始められれば、よりはやく借金を免除してもらい、新しい生活を始めることができるようになります。