司法書士・弁護士による債務整理(任意整理)や債務の消滅時効援用手続きを依頼する際、依頼者が想定外の費用負担を強いられるケースが増加しており、注意が必要です。
特に以下の報酬・手数料については、契約前に詳細な確認が不可欠です。
このページの目次
1. 任意整理手続きにおける注意点
- 返済代行手数料(送金代行手数料) 和解成立後の毎月の債権者への返済を、専門家事務所が代行する際に徴収される手数料です。毎月の支払いごとに発生するため、返済期間が長くなると総額が無視できない金額になることがあります。
- 確認事項: 毎月の返済額の他に、この手数料がいくら(定額か、割合か)かかるのか、返済期間全体で総額いくらになる見込みかを確認しましょう。
- 減額報酬 債権者との交渉により減額された元金や利息相当額に対して、一定の割合で請求される成功報酬です。減額幅が大きいほど報酬額も高くなりますが、計算の基礎となる「減額された金額」の定義が事務所によって曖昧な場合があります。
- 確認事項: 減額報酬の計算基準(元金、将来利息、遅延損害金など、何を含むのか)と、その割合(%)を明確に確認し、見積もりに含まれているか確認しましょう。
2. 債務の消滅時効援用手続きにおける注意点
- 成功報酬 時効の援用により債務が消滅した場合に支払う報酬です。時効が成立すれば債務が一切なくなるため依頼者にとっては大きなメリットですが、この成功報酬が**「消滅した債務額の〇%」**といった形で高額に設定されていることがあります。
- 確認事項: 成功報酬がいくら(定額か、消滅額の割合か)、計算の基礎となる消滅債務額はいくらかを事前に明確にし、予期せぬ高額請求とならないか確認しましょう。時効の成立有無にかかわらず発生する費用(着手金など)の有無も確認が必要です。
依頼する際の確認ポイント
- 費用の総額と内訳の明示: 着手金、基本報酬、返済代行手数料、減額報酬、成功報酬など、すべての費用項目とその金額(定額か割合か)を、契約書または見積書で明確にしてもらいましょう。
- 成功の定義と報酬: 「成功」とは何を指し、その場合にいくらの報酬が発生するのか、依頼前に納得いくまで説明を受けましょう。
- 複数の事務所との比較: 複数の司法書士事務所や弁護士事務所に相談(無料相談を活用)し、費用体系、実績、担当者の対応などを比較検討しましょう。
- 不透明な請求への対処: 契約書に記載のない、または説明を受けていない名目の費用を後から請求された場合は、安易に応じず、詳細な説明を求めましょう。
債務整理や時効援用は、生活再建のための重要な手続きです。借金の返済に困っている人の弱みにつけこみ、質問することに消極的になっている方々に、予想外の費用の負担をさせることが、司法書士会、弁護士会でも問題になっています。 費用面でのトラブルを避けるためにも、専門家との間で費用に関する透明性を確保し、安心して手続きを進めることが大切です。

